韓国での乳がん治療体験記③ 手術
前回の内容はこちらです。
手術当日の朝、もしかしたら子供達にはこれが最後の授乳になるかもしれない、と思いながら授乳をしていたら、涙が止まらなくなりました😭
この時2歳の長男には
「もうオッパイはバイバイかもしれないよ」
と伝え、幼いながらに理解してくれた様子でした。
そのことがとても嬉しくて、ありがたくて、また涙😭
下の子には10日間しか授乳してあげられなかったな、、と考えて、また涙😭
情緒不安定が最高潮でした。
それから長男を保育園に送って、私は夫の運転する車に乗り病院に行きました。
何もせずに、何も持たずに。。
今思うと笑ってしまうのですが、「手術」とは聞いても「入院」と言う言葉は聞かなかったので、何故かその日には家に帰れると思っていました。
手術するから帰れるはずがないのに💧
そして、夫も気が動転して入院の事がすっぽ抜けていた様子。。
ちょっとあり得ない。。
さて、病院に着いて外科に行くと、そのまますぐに病室のベッドに案内されました。
私の病室は、病棟の5階の1番奥にある6人部屋でした。
病室内に入ると、真ん中が通路で左右に3台ずつベッドが配置。
隣のベッドとはカーテンで仕切るタイプでした。
奥には窓があり、窓の上にはテレビが1台設置されていました。
朝なので朝食を食べている人がいたり、朝の連続ドラマを見ている人が居たり、皆さん自由に過ごしている感じでした。
そして普通は壁に頭を向けると思うのですが、何故か右側の真ん中のベッドの人が通路側に頭を向けて寝ていました。その人を見て、頭の上を人が行ったり来たりするので落ち着かなそう・・なんて思いました。
私のベッドは、通路側を頭にして寝ている方の向かい側、入って左側の真ん中のベッドでした。
隣のベッドの方(入り口入ってすぐ左側)は、今日が退院だと言って荷物をまとめていました。
ベッドで病室や病院の使い方を説明され、その時に初めて「入院」という言葉を聞いて、私と夫は一緒に顔を見合わせました。
とりあえず説明を最後まで聞いて、それから2人になってから大慌て。
とりあえず必要なものを夫に伝え、持ってきてもらうことに。
どこに何が置いてあるのか知らない夫が、私の必要な物を持ってこれるか心配になりました。
が、これは不足があれば場所を教えて持ってきてもらえばいい。
家は病院から歩いて15分かからないくらいのところだし、韓国は病室内でも携帯で会話して良いので、万が一ベッドから起き上がれなくても、携帯を扱える状態ならばそこは問題はありません。
入院中はメイクなどしないし、パジャマは病院のがあるし、とりあえず必要なものは下着とスマホの充電器と...
それよりも、急いで子供達の面倒を見てくれる人を探さないと💦今夜どうしよう。
夫は私の付き添いで病院にいないといけないし、どうしよう、どうしよう。
夫の知り合いは男性ばかり、私の知り合いは幼い子供がいる人ばかり。
誰にお願いしたら良いかわからず、夜中に預けられる施設とか病院とかないかと思い、そういった情報を知っていそうな息子の保育園の先生に電話をしました。
事情を話し、今日の夜に預かってくれる施設や人など知っていたら紹介して欲しいと言いました。
そしたら、その日の夜は先生自ら赤ちゃんを預かって面倒を見てくれるとのこと。
私は感謝で涙😭
そして暫くして看護師さんが来て、予定より遅れて手術室に。
夫は手術室の外で待っています。
ベッドの上に横になったまま[ドラマみたい]と思いながら、明るく殺風景な手術室を見回していました。
すると、私の頭の上側に、麻酔科医の先生らしき方が来て説明してくれました。
「これから麻酔をします。マスクをしたら、ゆっくり深呼吸して下さい。2、3回呼吸したら意識がなくなります。」
専門家が言っているのに、私は[そんな簡単に意識はなくならないでしょ]と疑っていました。
そしてマスクをされ深呼吸。
スー、ハー、スー、ハー...
そのままスーッと意識が無くなりました。
麻酔科医の先生のおっしゃることは本当でした😵
本当に一瞬です。
—手術—
やたら大きな声で名前を連呼する人がおり、やっとのことで軽く頷き重い瞼を少し開けると、手術室に行くまでの通路の片隅?
明らかに手術室ではない場所に放置されていました。
実際には放置ではないのだと思いますが、誰も私のことを気にかけない。。
誰が名前を呼んだのかも分からない。。
看護師さん達スタッフがバタバタと忙しそうにしています。
そしてしばらくそのまま放置...
動けないし、そのままベッドに横になっているしかない。
しかも頭がボーッとして、なんだか分からない状態。
[一体どんな状況なんだろう?]
手術は終わったようで、胸と左腕を一緒にぐるぐる巻きにされていました。
ガッチリ巻かれていたので、左腕は全く動きませんでした。
時計があったのですが、麻酔が抜けていないせいか、何故だかどうしても時計が読めない。
何度見ても、いくら考えても、時計を読めない。。
[う〜ん、、今は何時だ?]
動くことも声を出すことも出来ずしばらく待っていると、スタッフの方が「病室に移ります」と言って、ベッドを動かしてくれました。
手術室から出ると、夫が近づいてきて、お布団の下にあった私の右手を探して握ってきました。
そして無言。。
私)「癌だったんだね」
かすれた声で言いました。
そんなことは聞かなくても、夫の顔や態度を見ればすぐに分かりました。
そもそも夫が自分から手を握ってくることなんてあり得ない。
そして絶対に泣かなそうな人なのに、泣いた後のように目が赤い。
夫は私の顔を見ずに、黙って頷きました。
[やっぱり癌だったんだ]
私は何を言ったら良いのか分からず、何も言いたくなく、声を出すのも大変だったので、お互いに沈黙していました。
夏だったせいか、夫の手がやたら汗ばんでいました。
病室に到着。
看護師さんが夫に色々と説明をしています。
日本と違い、韓国は家族が泊まり込みで付き添って面倒を見れるようになっています。
そのため、患者さんのベッドの横や下には必ず簡易ベッドがあります。
私が手術した病院に置いてあったのは、畳むと椅子になり、広げると長椅子兼ベッドになるタイプのものでした。
いきなり現実に戻った感じがしました。
ぐるぐる巻きで、あちこちから管がぶら下がっていて、直ぐに退院できないのは分かりました。
看護師さんが説明を終えていなくなると、夫は急に立ち上がり、隣の空いた誰も居ないベッド(入り口左側)を動かし始めました。
意味不明。。
と思ったら、今度は私のベッドの下ををゴソゴソ。
[何をするんだろう??]
ストッパーを外して、私のベッドを動かし、空きベッドのあった場所に移動。。
びっくり(゚◇゚)
ちょっと日本じゃあり得ないですよね。
聞きたくても麻酔が効いていて話すのも面倒なので、そのまま居ました。
これから病院に何泊か泊まるのに真ん中は不自由だ、という夫の判断。
でも、そんな勝手に場所を変えて良いのか??
さすが韓国、さすがわが夫!
あり得なすぎです。
夫はその後に病室に来た看護師さんに場所を移動したことを伝え、看護師さんが「分かりました」と返事をしていましたが、そんな簡単なものなのか・・・
つづく。。
補足:病院パジャマについて
韓国ドラマを見たことある方はご存知かもしれませんが、韓国の病院は病院のロゴが入っていたりする病院独自のパジャマがあり、無料で貸出してくれます。
パジャマは必要なら毎日新しいのをもらえ、指定のカゴに入れておけば洗濯してくれるので楽ちんです。
ただ、全員で共有。
キレイなパジャマもあれば、色あせて擦り切れた汚いパジャマ、穴を縫ってあるパジャマなどもあります。
どのパジャマが良いとか決められないし、足りない時もあります。
自分のサイズのパジャマがない時は違うサイズのパジャマを着たりしていましたが、1番小さいサイズしか残ってなくてちんちくりんのパジャマで過ごした事があります。
また逆に女性用パジャマがなくて、男性用の大きなガバガバのパジャマを着たこともあります。
この時はウエストがずり落ちてくるので、パジャマの上はズボンにinして着ていました。
汚いパジャマであったとしても、無料で当たり前に貸出してくれるので、かなりありがたかったです。
続く↓↓
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